2020年5月8日、新英雄召喚イベント“闇を背負う英雄”にて、暴走の闘気 アイク(以下、暴走アイク)が実装された。三回目の開催を迎え、恒例となったFEHの闇堕ち英雄召喚イベントではあるが、暁アイクの闇堕ちに関しては発表当初から多くのプレイヤーから戸惑いの声が上がり、一部の原作ファンからは「この設定はあり得ない」「グレイルで良かったのでは」といった意見も見られた。何故なら、原作「暁の女神」においてアイクが闇堕ちすることは、一欠片の要素すらもないからである。
そして実装日を迎え、仲間にした時の台詞や「想いを集めて」のテキスト全文が白日の下に晒されることになったのだが、これらを確かめて感じたのは、「暴走に至るまでの経緯が露骨に暈されている」ことによる違和感だった。Twitterで見られた感想でも、「え、これだけ?」「これは結局何?」という困惑が大きかったように思う。さらに、暴走アイクのロード画面における紹介文と英雄紹介の文面は、5月20日のアップデート時に異例の修正をされている。詳しい経緯は後述するが、これは「開発途中の設定が残っていたため」の修正であり、それ以前には開発途中に消滅した設定が公式設定かのように周知されていたということである。これも暴走アイクの設定を分かりづらくさせてしまった大きな要因だ。
Twitterのフォロワーはご存知かもしれないが、筆者はテリウス大陸を舞台にした「蒼炎の軌跡」と「暁の女神」の2作(テリウス)をFEシリーズの中で最も愛している。今回の暴走アイクの実装を問題と捉えた人の多さを論じるつもりはないし、主語をいたずらに大きくするつもりはないが、筆者はそう捉えた原作ファンの一人である。筆者がどうしても見過ごすことのできない最大の設定無視は、5月20日のアップデート時に修正されているものの、その修正について公式に言及された記事がない以上、後から経緯を追うのは困難であるし、それによってこの問題を「ifを受け入れられない原作ファンの一部が曲解して騒いだ」というありがちな炎上話に置き換えられるのはどうしても癪である。
故に今回は、暴走アイクの設定の何が問題で何が修正されたのか、そして結局のところ暴走アイクとはどのような設定背景で実装された英雄なのかについて、一テリウス作品ファンとして、原作の知識が無くとも分かるように解説していきたいと思う。なお、記事の性質上、テリウス作品の物語の核心に迫るネタバレがあることはご承知いただきたい。
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